バルト三国旅行記


ヴィリニュス散策


 トゥラカイから45分かけてヴィリニュスに戻ってきました。大聖堂が建つカテドゥロス広場でバスをおります。ここで解散して、自由行動です。ただいまの時間は16時で18時30分からホテルのレストランで夕食です。
 
大聖堂
大聖堂
聖ヘレナ像 →
聖ヘレナ像
 
 午前中は曇り空でしたが、今は天気が回復して青空になっています。大聖堂のファサードに立っている像が持つ十字架が太陽を浴びて黄金に輝いています。この像のモデルは聖ヘレナです。彼女はローマ帝国のコンスタンティヌス帝(在位306〜337年)の母親です。彼女はエルサレムでイエスが磔にされたという十字架を発見した女性として知られています。
 
 聖ヘレナ像の両脇に立っている像は、聖スタニスラウスと聖カジミエルです。3体の像は、1950年にソ連によって撤去されましたが、造り直されて1997年に再び取り付けられました。
 
大公宮殿
大公宮殿
大公宮殿の中庭
大公宮殿の中庭
 
 午前中にも通った大公宮殿の前を通り抜けてゲディミナス大公像のところに行きます。1329年にヴィリニュスを首都に定めたゲディミナス大公は、戦争と外交を繰り返しながら領土を拡大しました。
 
 彼は、北方ではチュートン騎士団やリヴォニア騎士団と戦って領土を守り抜きながら、西や東に対しては13人の子供をポーランド王国や現在のベラルーシに割拠する領主たちと縁組させて領土を吸収しました。
 
ゲディミナス大公像
ゲディミナス塔
ゲディミナス塔
← ゲディミナス大公像
 
 ゲディミナス大公像の前を通り抜けたら、背後の丘に建つゲディミナス塔に向かいます。

 
 
 丘の上までは、石が敷き詰められた道を上っていきます。ケーブルカーでも上ることができるようです。丘の上には、ゲディミナス大公が1323年に築城したヴィリニュス城(ゲディミナス城)の遺構が残っています。
 
丘の頂上へ
丘の頂上へ
ヴィリニュス城(ゲディミナス城)
ヴィリニュス城(ゲディミナス城)
 
 カテドゥロス広場から見えたゲディミナス塔が目の前にあります。ゲディミナス大公はヴィリニュス城を囲むように城壁と3つの塔を建設しました。ゲディミナス塔は、3つの中で西に位置する塔でした。ヴィリニュス城や塔は1419年に火災で焼失しましたが、孫のヴィタウタス大公によって再建されました。
 
 1655〜1661年のモスクワ戦争ではヴィリニュス城も塔も全て破壊されてしまい、以降は放置されていましたが、1930年頃にゲディミナス塔が再建されました。現在、丘の上では発掘調査が行われていて、出土品はゲディミナス塔の中にある博物館で見ることができます。
 
ゲディミナス塔
3つの十字架の丘
3つの十字架の丘
← ゲディミナス塔
 
 この丘からは、ヴィリニュス旧市街の町並みを見渡すことができます。大聖堂、聖ヨハネ大聖堂の鐘楼、聖アンナ教会など午前中に見学した建築群も見えます。
 
 北東に目を向けると、遠くに3本の十字架が立つ丘が見えます。14世紀に7人のフランシスコ会の修道僧が異教徒によって殉教しました。彼らはこの丘に埋葬され、小さな教会と十字架が立てられました。これらは木製だったため、やがて朽ち果ててしまい、19世紀にコンクリート製の3本の十字架が立てられました。ソ連によって1951年に破壊されてしまいますが、独立回復後の1989年に再建されました。
 
ヴィリニュス旧市街のパノラマ
ヴィリニュス旧市街のパノラマ
 
 丘を下りてネリス川沿いのアルセナロ通りを歩いていくと、「工芸とデザインの博物館」と「リトアニア国立博物館」があります。「工芸とデザインの博物館」は、16世紀に建設された旧武器庫です。1986年に再建され、現在は工芸品、家具、服飾などが展示されています。
 
 「リトアニア国立博物館」は、18世紀に建設された新武器庫です。1958〜1965年に再建され、現在はリトアニアの歴史や民俗に関係する資料が展示されています。
 
アルセナロ通り
アルセナロ通り
ミンダウガス像
ミンダウガス像
 
 リトアニア国立博物館の前にはミンダウガスの像が置かれています。ミンダウガス(在位1236〜1263年)は、リトアニア公国を建国した人物です。リトアニアに割拠する部族を率いる部族長の1人だったミンダウガスは、徐々に勢力を拡大してヴィリニュス、トゥラカイなどを含む現在のリトアニアの領土を征服します。
 
 1251年にリトアニアにキリスト教を導入し、1253年にはローマ教皇によってリトアニア王に戴冠されました。ミンダウガスは、リトアニアで唯一、国王を名乗った人物です。