イタリア旅行記(ヴァチカン市国)


ヴァチカン博物館(ラファエロの間)


 2つ目の部屋は「ヘリオドロスの間」です。ここはユリウス2世が書斎および寝室として利用した部屋です。
 
神殿から追放されるヘリオドロス
神殿から追放されるヘリオドロス
 この部屋を飾るフレスコ画の1つ、「神殿から追放されるヘリオドロス」もラファエロの弟子たちの手によるもので、エルサレムの財宝を盗もうとしたヘリオドロスが神殿を追われる聖書の一場面を描いたものです。
 
 続いては「ローマ教皇レオ1世とアッティラ王の対面」です。
 
ローマ教皇レオ1世とアッティラ王の対面
ローマ教皇レオ1世とアッティラ王の対面
 ローマ帝国末期の452年にアッティラ王が率いるフン族は西ローマ帝国領を荒らしまわりながらローマに攻め込んできます。
 
 これに対してレオ1世がアッティラ王を説得して引き揚げさせたという伝説を描いています。
 
 続いて3つ目の「署名の間」に入ります。この部屋はヴァチカンに招かれたラファエロが最初に作業に取り掛かった部屋で、この部屋に描かれているフレスコ画は彼自身の手によるものと言われています。
 
 
 「聖体の論議」は、ラファエロが最初に製作にとりかかった作品です。画面は上下に2分割されていて、上部にはキリストを中心に両脇に聖母マリアと聖ヨハネをはじめとする聖人が並び、下部にはローマ教皇や信者たちが描かれています。
 
聖体の論議
聖体の論議
 
 この署名の間にはもう一つ、ラファエロの代表作が描かれています。それが1509〜1510年にかけて描かれた「アテネの学堂」です。ここに登場しているのは、古代ギリシャの哲学者や科学者たちです。
 
アテネの学堂
アテネの学堂
 
 ラファエロは登場人物たちのモデルとして、知り合いの画家や建築家たちを選びました。例えば、画面中央にいる赤い衣装の人物、哲学者プラトンはレオナルド・ダ・ヴィンチ、画面右下で腰を曲げている赤い衣装の人物、数学者ユークリッドは建築家ブラマンテがモデルになっています。
 
 哲学者プラトンと議論している青い衣装の人物、哲学者アリストテレスのモデルはミケランジェロと言われています。しかし、レオナルド・ダ・ヴィンチとミケランジェロは日頃から仲が悪く、「例え絵の中でも隣り合うのは嫌だ」とミケランジェロから非難されたため、ラファエロは画面下の方で座り込んでいる紫の衣装を着た人物、哲学者ヘラクレイトスとして描きなおしたと言われています。