イタリア旅行記(ヴァチカン市国)


ヴァチカン博物館(絵画館)


 ヴァチカン図書館に続いては、絵画館(ピナコテカ)を見学します。イタリアを征服したナポレオンが持ち去った美術品は1815年のウィーン条約で返還されましたが、公開されることなく保管されていました。これらの作品を展示するためにピウス11世(在位1922〜1939)は1932年に絵画館を建設しました。
 
 「聖母戴冠(1444年頃)」は、フィリッポ・リッピ(1406〜1469年)の1444年頃の作品です。幼い頃に孤児となったリッピは修道院にひきとられ絵を学びました。やがて、彼はフィレンツェを支配していたメディチ家の庇護を受けるようになり、画僧として活躍しました。
 
聖母戴冠(フィリッポ・リッピ)
聖母戴冠(フィリッポ・リッピ)
 
 
 続いては、この絵画館の至宝でラファエロの遺作でもある「キリストの変容(1518〜1520年)」です。
 
キリストの変容(ラファエロ・サンティ)
キリストの変容(ラファエロ)
 イエスは逮捕される直前に弟子たちを連れて山に登ります。そこで、イエスの体は光を放ち、モーゼとエリヤが姿をあらわします。
 
 その後、イエスは下山する途中で悪霊に取り付かれた子供(画面右下の子供)に出会い、治療を行います。
 
 この作品にはその2つの奇跡が描かれています。
 
 1520年4月6日、ラファエロは自身の37歳の誕生日に亡くなりましたが、彼の脇にはほとんど完成したこの作品が置かれていたそうです。
 
 
 「キリストの変容」の両脇にはラファエロがまだペルージャで修行中だった時期に描かれた「聖母戴冠(1502〜1504年)」と、ラファエロがローマで活動を始めて4年が過ぎた頃に枢機卿シジスモンド・デイ・コンティの依頼で製作した「フォリーニョの聖母(1511〜1512年)」が飾られています。
 
聖母戴冠(ラファエロ・サンティ)
聖母戴冠(ラファエロ)
フォリーニョの聖母(ラファエロ・サンティ)
フォリーニョの聖母(ラファエロ)