ローマ帝国


ハドリアヌス(76〜138)


 ハドリアヌスはトラヤヌスの従兄弟の子で、幼い頃に父を亡くした彼はトラヤヌスの下で学問に励みます。
 
ハドリアヌス(ローマのカピトリーノ美術館)
ハドリアヌス
 ローマ皇帝に即位したハドリアヌスは冷静に状況を観察し、増大する一方の軍事費や辺境で相次ぐ反乱などから、これ以上帝国の領土を広げるのは得策ではないと判断しました。
 
 彼はトラヤヌスが多くの犠牲を払って征服したアルメニアやメソポタミアを、周囲の反対を押し切って放棄します。
 
 さらに、21年の治世のうち、12年という長い年月を視察旅行に費やして帝国各地の防衛力を強化しました。彼がブリタニアに建設したハドリアヌス長城はその一環です。
 
 ハドリアヌスはギリシャ文化を愛し、建造物の設計も手がけた皇帝としても知られています。現在もローマ郊外のティヴォリに残っているヴィラ・アドリアーナはギリシャ文化の集大成として後世のローマ建築に多大な影響を与えたと言われています。
 

76年 ハドリアヌス、誕生
86年 ハドリアヌスの父が死去。ハドリアヌスはトラヤヌスの下で学問に励む
98年 ネルヴァ、死去。トラヤヌスがローマ皇帝に即位
102年 ハドリアヌス、トラヤヌスの姪サビーナと結婚
105年 ハドリアヌス、トラヤヌスの第二次ダキア遠征に軍団を率いて参戦
107年 ハドリアヌス、パンノニア属州の総督に任命される
117年 トラヤヌス、死去。ハドリアヌスがローマ皇帝に即位
118年  ローマに建つハドリアヌスが再建したパンテオンハドリアヌス、焼失したパンテオンを再建(〜125年)
(写真はローマに建つパンテオン
121年 ハドリアヌス、1回目の視察旅行に出発(〜125年)
122年 ハドリアヌス、ブリタニア訪問中にハドリアヌスの長城建設を指示
123年 ハドリアヌス、ローマ郊外のティヴォリにヴィラ・アドリアーナの建設をはじめる
124年 ハドリアヌス、ギリシャのアテネ訪問中にゼウス神殿を建設
128年 春、ハドリアヌス、2回目の視察旅行に出発
夏、ハドリアヌス、3回目の視察旅行に出発(〜134年)
129年 トルコのエフェソスに建つハドリアヌス神殿ハドリアヌス、トルコのエフェソスを訪問
(写真はトルコのエフェソスに建っているハドリアヌスの神殿
138年 2月、ハドリアヌス、アントニウス・ピウスを養子にする
ローマに建つハドリアヌスが葬られたサンタンジェロ城7月、ハドリアヌス、死去。アントニウス・ピウスがローマ皇帝に即位
(写真はローマに建つハドリアヌスが葬られたサンタンジェロ城