ローマ帝国


トラヤヌス(53〜117)


 ドミティアヌスの殺害後に元老院から皇帝に推挙されたネルヴァは高齢だったため、1年あまりの治世の後に死去しました。ネルヴァには実子がいなかったため、生前に養子になっていたトラヤヌスが跡を継いでローマ皇帝に即位します。
 
トラヤヌス(ヴァチカン博物館)
トラヤヌス
 トラヤヌスはヒスパニア属州(現在のスペイン)の出身で、属州出身の皇帝は彼が初めてでした。
 
 優れた将軍だったトラヤヌスは将兵に非常に人気がありました。また、皇帝に即位した彼は元老院の意見を尊重して良好な関係を築きました。
 
 トラヤヌスの功績として特に有名なのがダキア遠征です。101〜106年にかけて、トラヤヌスの指揮するローマ軍はダキア(現在のルーマニア)に遠征してローマ帝国の領土に組み込むことに成功しました。
 
 その後もトラヤヌスは東方に遠征し、アルメニアやメソポタミアを征服します。彼はさらに東方へ軍を進めようとしましたが、遠征途中で発病し、ローマへの帰還中に亡くなりました。彼は「最良の元首」と呼ばれ、彼の治世にローマ帝国の領土は最大となりました。
 

53年 トラヤヌス、ヒスパニアで誕生
92年 トラヤヌス、ゲルマニア属州の総督に任命される
96年 ローマのカピトリーノ美術館に飾られているネルヴァの胸像ドミティアヌスが殺害される。ネルヴァがローマ皇帝に即位
(写真はローマのカピトリーノ美術館に飾られているネルヴァの胸像)
97年 ネルヴァ、トラヤヌスを養子にする
98年 ネルヴァ、死去。トラヤヌスがローマ皇帝に即位
101年 ローマに建つダキア遠征の様子が描かれたトラヤヌス帝の記念柱トラヤヌスの第一次ダキア遠征(〜102年)
(写真はローマに建つダキア遠征の様子が描かれたトラヤヌス帝の記念柱
105年 トラヤヌスの第二次ダキア遠征(〜106年)
107年 トラヤヌス、ハドリアヌスをパンノニア属州の総督に任命
112年 トラヤヌスのフォーラムが完成
113年 トラヤヌス、東方に遠征。ハドリアヌスも軍勢を率いて参戦
114年 トラヤヌス、メソポタミアとアルメニアを攻略
116年 トラヤヌス、パルティア王国の首都クテシフォンを攻略
117年 トラヤヌス、死去。ハドリアヌスがローマ皇帝に即位