イギリス旅行記(ロンドン)


大英博物館(エジプト・コレクション)


 続いては「ラムセス2世の胸像」です。高さ2.67m、重さ7.25トンという巨像です。
 
ラムセス2世の胸像
ラムセス2世の胸像
 ラムセス2世(在位、前1279〜前1213年頃)は第19王朝のファラオです。67年に渡って君臨し、180人の子供がいたと言われています。
 
 この像は、かつての王都テーベのラムセウム(葬祭殿)に飾られていましたが、1818年にロンドンに運び込まれました。
 
 その前にナポレオン軍が運び出そうとしたことがあって、そのときに右胸に穴が開けられたそうです。
 
 同じエリアに展示されている「ラムセス2世の王名表」には、ラムセス2世をはじめ、祖先のファラオたちの名前が刻まれています。
 
 ラムセス2世像の脇には黒い小さな胸像が置かれています。背中に刻まれた碑文にツタンカーメンの名前があることから、黄金のマスクで有名なファラオ、ツタンカーメン(在位、前1336〜1327年)の胸像だと言われています。
 
ツタンカーメンの胸像
ラムセス2世の王名表
↑ ラムセス2世の王名表
 
← ツタンカーメンの胸像
 
 続いて紹介するのも歴代ファラオたちの像です。
 
 アメンヘテプ1世(在位、前1525〜1504年頃)は、第18王朝の2代目ファラオです。彼はヌビアに出兵して植民地化を進めました。この像は冥界の王オシリスに擬して作られています。
 
 アメンヘテプ3世(在位、前1390〜1352年頃)は、同じく第18王朝の9代目ファラオです。彼の時代に古代エジプトは最も繁栄しました。この像はテーベのカルナック神殿に飾られていたもので、頭部だけで2.9メートルの高さがあります。
 
アメンヘテプ1世像
アメンヘテプ1世像
アメンヘテプ3世の頭部像
アメンヘテプ3世の頭部像
 
 
 大英博物館では、多くのファラオたちを見ることができます。このページで紹介したファラオたちが活躍した時代を整理するために古代エジプトの略歴をまとめてみました。
 
古代エジプトの略歴
前3000年頃 ナルメル王がエジプトを統一し、メンフィスを首都に定める
前2550年頃 クフ王がピラミッドを建設
前1570年頃 イアフメス1世がテーベを都に定める
前1525年頃 アメンヘテプ1世即位
前1470年頃 トトメス3世がエジプトの領土を最大に広げる
前1390年頃 アメンヘテプ3世即位
前1360年頃 アメンヘテプ4世がアメン神崇拝からアテン神崇拝への宗教改革を断行し、首都をテーベからアマルナに移転
前1336年頃 ツタンカーメン即位。アメン神崇拝が復活し、首都をメンフィスに移転
前1279年頃 ラムセス2世即位
前525年 アケメネス朝ペルシャがエジプトを征服
前332年 アレクサンドロス大王のマケドニア王国がエジプトを征服
前305年 プトレマイオス王朝がはじまり、アレクサンドリアが首都に定められる
前47年 クレオパトラ女王即位
前30年 クレオパトラが自殺し、ローマ帝国がエジプトを征服
 
 1939年にゲイヤー・アンダーソンが寄贈した猫の像は、紀元前600年頃の作品と言われています。この時代、猫は豊穣の女神バステト神の化身とされ、聖獣として崇められました。
 
ゲイヤーアンダーソンの猫
ゲイヤー・アンダーソンの猫
プタハシェプセスの偽扉 →
プタハシェプセスの偽扉
 
 「プタハシェプセスの偽扉」は、古王国時代の第4または第5王朝時代のものと言われています。プタハシェプセスは要職を務めた人物で、この扉は墓の偽扉でした。偽扉は死者の魂が供物を受け取るときに通るための扉です。