イギリスの歴史


アングロ・サクソンの時代(411〜1065)


 ローマ軍の撤退後、入れ替わるようにサクソン人、アングル人などのゲルマン民族がブリテン島に渡ってきました。彼らは総称してアングロ・サクソン人と呼ばれ、現在のイギリス人の基礎となりました。そして、「アングル人の土地」を意味する「イングランド」という名称が生まれました。
 
ヘプターキー時代のブリテン島
ヘプターキー時代のブリテン島
 アングロ・サクソン人は先住民を追い払い、やがてブリテン島南部に7つの王国(ヘプターキー)を建国します。
 
 7王国の争いは300年に渡って続き、829年になってようやくウェセックス王国のエグバード王のもとにブリテン島南部が統一されます。
 
 しかし、この頃から海を渡ってデーン人(ヴァイキング)の侵入が始まります。大きな体に鎖帷子をまとい、鉄製の武器を振り回すデーン人にアングロ・サクソン人はなす術がありませんでした。デーン人は各地で略奪を行いながらブリテン島を征服していきました。
 
アングロ・サクソン時代の防具(大英博物館)
アングロ・サクソン時代の防具
 こうした状況の中で、9世紀後半にウェッセクス王国にアルフレッド大王(在位871〜899年)という英雄が登場します。
 
 アルフレッド大王は強力な軍隊を組織し、海軍も設立してデーン人をブリテン島北部まで押し戻してブリテン島南部の領土を回復しました。
 
 その後もデーン人はブリテン島への上陸を繰り返し、1016年にデーン人のクヌートがイングランド王に即位します。クヌートは1018年にデンマーク王、1028年にノルウェー王にも即位したので広大な北海帝国が誕生しました。
 
 この帝国はクヌート王の息子ハーザクヌート王が死去したことで終わりを告げ、アングロ・サクソン人のエドワード懺悔王がイングランド王に即位しました。
 
476年 西ローマ帝国が滅亡
500年頃 七王国(ヘプターキー)時代が始まる
800年 フランス、パリのノートルダム広場に立つカール大帝の騎馬像フランク王国のカール大帝が西ローマ帝国の皇帝に即位
(写真はフランス、パリのノートルダム広場に立つカール大帝騎馬像)
829年 ウェッセクス王エグバードがイングランドを統一
871年 アルフレッドがイングランド王に即位
978年 エセルレッド無思慮王がイングランド王に即位
987年 パリ泊ユーグ・カペーがフランス王に即位してフランス王国誕生
1013年 デンマーク王スウェインと息子クヌート率いる軍勢がイングランドに侵攻。エセルレッド無思慮王はノルマンディに亡命
1014年 スウェインが死去、エセルレッド無思慮王がイングランドに帰還してイングランド王に復位
1016年 クヌートがイングランド王に即位
1018年 クヌートがデンマーク王に即位
1028年 クヌートがノルウェー王に即位、イングランド、デンマーク、ノルウェーにまたがる広大な北海帝国が誕生
1042年 ハーザクヌート王が死去、エドワード懺悔王がイングランド王に即位してアングロ・サクソン人の王朝が復活
1065年 イギリス、ロンドンに建つウェストミンスター宮殿(現在の国会議事堂)エドワード懺悔王がウェストミンスター宮殿(現在の国会議事堂)を建設
(写真はロンドンに建つウェストミンスター宮殿(現在の国会議事堂)